こもっとちばは千葉県最⼤の引きこもり支援ポータルサイトです。あなたの今を変える!引きこもっているあなたへ!それに関わるあなたへ!行くべき窓口を一緒に探します!

Pick up インタビュー 一般社団法人 子どものみらい開墾者 代表理事 太田蒔子

2024.11.18

一般社団法人 子どものみらい開墾者 代表理事 太田蒔子

はじめに・・・

八街市中高生のための居場所「ナッツアップ?」

とても穏やかな木のぬくもりと壁に描かれた子ども達の絵が
この場所の自由さを感じさせてくれる。

優しく、子ども達の友人であるかのような笑顔で
迎えてくださったのがこちらの代表理事である太田蒔子さんだ。

自由を大事に子ども達との関わりを続ける太田さんの
経緯も含め細かくインタビューさせていただきました。

編集長
編集長

【ナッツアップ?】という居場所をやってみよう!と思った
キッカケをお聞かせください。

自分自身、八街市出身で、ずーっと八街なんですけど・・・
ここの利用対象でもあります、中学とか高校も八街市で育ってきたんです。

私が公立の中学校に在籍していた頃にクラスメイトとかにも色んな子達がいて、
それこそ、経済面に問題があったり、明確な障がいではない何か生きづらさを抱えているような、
先生はハッキリとは言ってくれなかったんですけど、なんとなくそういうのが頭に引っ掛かり続けていたんですね。

で、大きなキッカケになったのは、

JICAの青年海外協力隊という活動に参加して、ソロモン諸島というところに行ったんですけども、
そこの生活が

【村社会】ひとつの物事を村全体で見る!

みたいなのが根付いてて、

子ども達は親だけじゃなくて村の大人達みんなで見る。
地域のおじいちゃん、おばあちゃん、お兄さん、お姉さん、みんなで見る。

そういう光景を見て、そういう風に育つと、
生まれ持った環境の影響だけじゃなくて、すくすく子ども達が育つような
暖かい空気を感じたんですよね。

そういう環境を作れれば、とは思ったんですけど、やっぱり村を1から作るのは難しいですから、
こういう施設で・・・私達スタッフが村人で、来てる子ども達をみんなで育てるような・・・
それだったら再現できるかなぁ・・・?って思っていたんです。

そんな時に、こういう場所の事をユースセンターっていうらしいんですけど、
そういう出逢いもあって、やってみよう!って立ち上げたって感じですね。

編集長
編集長

なるほど!ここがひとつの村っていう考え方なんですね!
ここで子ども達を育てる!って中で、何か方針のようなものはあるんですか?

そうですね。一応、村人として子ども達を見守らせてはいただいてるんですけど、
でも、

親とか学校の先生とかとは違うような存在ではありたいと思ってますね。

なので、場所を開放している訳ですけど、

強制するようなそういうルールのようなものは全くないです。

まあ、危険な事や、人に危害が加わる様な事があった時は
注意する事もあるんですけど、

基本的には彼らが自由に過ごしているのを見守っているようなスタンスでいます。
なので、一緒に遊んだりとか、話し相手になったりとか、
村人としての方針はそんな感じですね。

編集長
編集長

ホームページ見させていただきましたが、
お話聴きますよ。相談聴きますよ。
って割としっかり出していらっしゃったと思うんですけど、
居場所の提供にプラスしてお話を聴く事、相談を聴く事って、
何故重要だと思ったのでしょう?

本当に深刻な状態、状況で相談をくれるって事って、この場所では稀なんですけど、
日常的にトランプとかやりながら、ポロっと気になる事が出てくる事があったりって感じなんですけど、
勿論、信頼関係が築かれていく中で・・・っていうのが大前提なので。

相談を受け付ける事を重要視しているっていう感じとはちょっと違うような気がしますね。

なんかあったら、さっき話したように村人であるお兄ちゃん、お姉ちゃん、おじさん、おばさん、
おじいちゃん、おばあちゃんが話を聴くよっていう、スタンスは開示していますけど・・・
極々、自然な感じです。

みんなで過ごしてて、話したい事があれば話すし、話したくなければ話さなくても良いし、
その中に相談もあったり、ただの愚痴みたいなのがあったり・・・。

編集長
編集長

太田さんのルーツの中に学生時代の想いもありましたが、
今の子達にこういう場所が必要!って想うのは何故でしょうか?

子ども達ひとりひとり抱えてる事で状況は違いますけど、
今、自分が抱えてる事ってその子にとっては普通だったりするじゃないですか?
でも、こういう場所でそれこそ、他の子達と関わっていったり、
ありのままの大人達と接する事で

自分の状況はもっと人に頼るべき状況なんだって気付けるキッカケになる。

そういうのはあると思いますね。

学校の先生も勿論、気付かせる存在のひとりでもあるとは思いますし、
近所の人もそういう存在であるとは思うんですけど、そういう機会って多くて良いと思うんです。

こういう場所はそういう気付きのキッカケの場のひとつかなぁ。

後は、学校や家で息が詰まっちゃってる子達なんかの息抜きの場所にもなると思います。

学生の時期って、1日の大半が学校になっちゃうじゃないですか。
あとはおうちにいる時間ですよね。

その子達の居場所って言える場所がひとつでもふたつでも増えれば、
異変に気付けるような、また自分自身でも気付けるようなそんなキッカケにもなると思うので、
そのひとつに私達がなれたら嬉しいなって思います。

編集長
編集長

ちょっと太田さんご自身に迫りたいんですが・・・
色々仕事がある中で、太田さんご自身、JICAでの活動もそうですが、
そういう人道的な仕事を選んだのは何故でしょうか?

うーん、ちゃんとした答えになってるかわからないですけど・・・

前職が図書館関係のお仕事だったんですよ。
図書館に勤めていたという訳ではなくて、図書館に色々なものを卸したり、
業務委託を受けて様々な事務処理なんかをするような民間の企業に居たんです。

その時に図書館っていう場所の可能性を強く感じながら仕事していたんですよね。

各自治体に必ずひとつあったりするような公共の施設じゃないですか!

本当はそういう場所が、それこそ不登校や貧困とかで悩んでいる子ども達の
心の拠り所みたいになれれば良いなぁって思ったりもしていたんですけど・・・

図書館には本を貸し出したり、またそれを管理したりっていう
基本的な業務が結構あるんですよね。あとはやっぱり場所のルールとしても色々ありますし、

子ども達がワーッと集まって来るにはやっぱり難しいな・・・って思ったんですね。

だから、業界の中でやろうとするよりは、
一度外に出て、しっかりそういう活動が出来るってところを証明して・・・
そこから良い要素をそういう公共の施設とかに
取り入れていけたら良いなぁって思ったんです。

編集長
編集長

凄い!芯を感じますね!その、人の為に誰かの為に何かをしよう!という
その姿勢はいつ頃からお持ちなんでしょうか?

なんでしょうね・・・そんなに大それた感じでは捉えていないんですけど・・・

誰かの為に・・・っていうのは、
もうずーっと当たり前のように思ってきたというか・・・。

話しながら思い出したんですけど、
東日本大震災の時に大学生だったんですけど、
その時、復興の為の支援活動とかさせてもらったのが
ボランティアとか人道支援とかの始まりですかね。

ホント、元々の性格でそういう活動に興味があったんです。

編集長
編集長

元々持ってる太田さんの気持ちが今の活動で正に形になっていくんですね!
今現在ってどれぐらいの人数の子ども達がいらっしゃってるんでしょう?

まちまちですね。

昨年(2023年)は平均すると6名、7名ぐらいですかね。

編集長
編集長

そうなんですね。実際ご利用されてる方の声で
ここを利用して良かった点にどんなものが挙げられていたりします?

「第二の家みたい。」

とおっしゃってくださる子もいますし、

「居心地が良い」

っていうのは言ってくれますね。

結構、寝に来てくれる子もいるんですよ。
寝てくれるって凄い事だと思ってるんですけど、
だって、かなり心を許していないとなかなか出来ないじゃないですか?
一番無防備になるというか・・・。

そういうのは結構嬉しいなぁと思っちゃいますね。

寝袋持ってきてくれる子なんかもいるんで・・・(笑)

編集長
編集長

そうなんですねw確かに!相当安心していないと寝たりも出来ませんし、
この場所は子ども達にとって安心の場である証拠ですね。
太田さん的に子ども達にこの場所で受け取って欲しい事ってなんでしょう?

なんでしょうね~・・・w

この場所を立ち上げた時の理想としては、ヤンキーって呼ばれちゃってるような
そういう子とそうでない子が入り混じってるような場になると良いなぁって思ってたんですけど、

実際利用してくれてる子達を見ると、この場所に来る前に利用していた場所だったりとかで
上手くなじめなかったりしたような子が来ているような気がするんです。

色々個人的な問題を抱えていたりとか、それに対してどうして良いかわからないような・・・

で、そういう子達には是非、ここでもう一度、自分に出来る事を探すような

チャレンジしていく力を付けてもらいたいなって思いますし、
そのキッカケにでもなれたらいいなぁって思いますよね。

今少しずつですけど、そういう芽が出始めてるような気がしてて、
本当に少しずつですけど、ここに来て自由に過ごす中で何かにチャレンジし始めてる子もいるので
そういう子から、また広がって次の子の刺激になっていくっていうのが
もっと今後、起こっていくと良いなぁって思っています。

編集長
編集長

ここは究極のキッカケというか・・・自発性を促していく場なんですね!
見ると、ドラムとかも置いてありますしね(笑)

そうなんですw

とにかく何か、引っ掛かるものがあれば良いって思って置いてるんですけど(笑)

そうなんですよね・・・ここに来ているスタッフ達は
子ども達に何か出来ないかなぁ・・・っていうので
集まってくださってるんですけど、それ以外にも・・・、

こういうスキル持ってるから子ども達に何時から何時までこういう事をしてあげたい!

とか、

スタッフではないんですけど、スキルを持ってる大人達が出入りする事もあるんです。

IT関係でお仕事してきた方でそれこそプログラミングとかに詳しい方がいらっしゃったりとか、
HIP HOPのDJやってらっしゃる方が来てくれたりとかもあるんですね。

スタッフとも勿論ですけど、そういう出入りしてくださる大人達との相性が良くて
来てくれる子もいるので、

とにかく何でも良いし、誰とでも良いので、引っ掛かるものがあれば良いなぁって
そういう想いでやらせてもらってますね。

編集長
編集長

子ども達がのびのびと考えて、行動出来る場なんですね~。
ちなみにおうちや学校以外の居場所として開けて、
自発性を促す働きかけを行っていらっしゃる訳ですけど、
おうちの親御さんとかにお子さんにこう接してあげてくださいって
アドバイスのようなものをいただきたいんですが・・・

難しいですね~・・・w

ここのスタッフ達にある程度、徹底している

【何も言わない】

っていう事が、ご家庭や学校に少しだけでも取り入れられると
お互いにちょっと楽になるのかなぁとは思います。

あまり無責任な事は言えませんが、
学校も頑張って行って、高校も大学を意識して行かなきゃいけない、
大学も出来るだけ良い大学行って、子供は外で元気ハツラツに生きていなければいけない、
そういう一般的なイメージがあるじゃないですか?こうあるべきみたいなやつ。

でも、必ずしもそうでなくてはならない訳じゃない!

っていう感覚が広がると、みんながもっと楽になるんじゃないかと思うんですよね。

編集長
編集長

あ~、僕個人的にはよくわかります!あらねばならぬを手放すと、
お互いが楽になるってありますよね。で、ここで無視できないのは
そういったルールの様なものを軽くしたり、無視したりすると、
行儀が悪くなったり、ルーズになったりするんじゃないかと・・・
一般的に危惧しそうな気がするんですが、実際はどうでしょう?

あはははは(笑)それは・・・え~と・・・実際に~・・・

あるかもしれないですね(笑)

そういうのも含めて、今は言わないようにあえてしていますね。
危険な行為とか、他者に危害を加えるような事じゃない限りは、
基本的には全て自由にしてもらってるので・・・、
だらしなくなったり、っていうのは・・・ないとは言えないですねw

でも、例えば、

すぐそこにあるソファで寝てる子とかいるんですけど、
公衆の面前で思いっきり寝てる訳ですよw

そういうのだって【行儀が悪い】【マナー違反】だって捉えれば、
確かにそうかもしれないんですけど、
やっぱり安心感や解放感っていうのは今ここに来てくれてる子には
大事にして欲しいって思っているので・・・、

勿論、それによって気分を害したり、誰かの権利が脅かされるのは違うので、
そこは注意したりはしますけど・・・そうでない限りは自由を守ってあげたいって思います。

でもホント難しいですよね。だからルール化していないんですよw

スタッフひとりひとりも人間ですから、それぞれのルールみたいなものがあって、
これは良いけど、これは駄目だ。の基準って人それぞれなんですよね。
だから、あるスタッフは注意をするけど、ある別のスタッフは注意しなくて・・・
みたいな事もあるんですけど、それで良いって思ってるんですよね。

社会もそうじゃないですか。

だから結構、色んなスタッフがいたりとかする事もそのままですし、
子ども達の自由もそういう形で保障しているんですよね。

その中で学ぶべき事を学んでもらえたら良いんです。

私しかスタッフがいなかったら、行儀が悪い子が育つ空間でしかないかもしれないですけど(笑)
色んなスタッフがいて、注意したりする人もいるから、バランスが取れてるような・・・
そんな気がします。

Oplus_32
編集長
編集長

正に最初におっしゃってくれてた、村全体でひとりの子を見るような・・・
そんな形ですね!単純なんですけどこの場所でしか得られないものですね。

そうかもしれないですねw

oppo_0
編集長
編集長

では最後の方になりますが、このサイトをご覧の
当事者や当事者関係者の方々に伝えられる言葉いただいてもいいですか?

難しいですね~・・・w

生きているだけで素晴らしいんですよね。

それ以外の事も色々あるとは思うんですけど、
で、正解みたいなのを探してもキリがないような感じなんですよね実際。

だから、

あまり自分の事を責めないで欲しいし、追い込まないで欲しいですね。

もしも、この居場所【ナッツアップ?】にご縁があったとして、
ここでなくても全然構わないと思うんですけど・・・、
合うと思う人もいて良いですし、合わないって思ったって良いと思うんです。

とにかく、ひとりにならないで、行動してみて、
それが出来ている自分を褒めてあげて欲しいし、責めないであげて欲しい。

気軽に相談しに来てもらえればと思います。

終わりに・・・

子どもたちに必要なのは自由で穏やかな空間。

居場所の存在が子どもたちが安心して未来に進む為の力になる。
そんな信念を感じるインタビューでした。

笑顔も交えて、ご自身の直感や想いを語ってくださる姿に
多様性のある子どもたちを受け入れられる柔軟さを感じ、
僕自身も多くの方の人生と関わる生き方をする人間として
あるべき姿を再確認させていただきました。

居場所は誰に対してもとても大事だ!
そう、改めて想う山田なのでした。

☆太田さんのいらっしゃるところ☆

施設名八街市中高生のための居場所「ナッツアップ?」
住 所〒289-1115
千葉県八街市八街ほ240−32 2階
営業時間・定休日毎週月曜日、水曜日、木曜日 10:30~20:00
対応地域八街市
対 象児童未成年不登校
対応内容居場所
公式サイトhttps://in86s.notion.site/f5d01fbe8208466b9c7d0200ee20c80f
お問い合わせNuts Up?(ナッツアップ)
〒289-1115
千葉県八街市八街ほ240−32 2階
043-312-9821
営業時間以外はメールにてお問い合わせください。
in86s.yachimata@gmail.com

インタビュアー:山田賢明
     編集:山田香綸