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Pick up インタビュー 柏市地域生活支援センター「あいネット」所長 川野優

2024.03.19

柏市地域生活支援センター「あいネット」所長 川野優

はじめに・・・

若々しい雰囲気がありつつも、ゆったりとした語り口調に
優しさを感じさせる川野さん。
柏市で生活全般に関する悩み事を解決すべく
無料相談の窓口の所長をされています。

障がいの有無に関わらず、広く地域の方々の為に活動している地域生活支援センター。
深く、重たい相談も多く寄せられる場でもありますが、
日々、どんな気持ちで支援に当たっているのか・・・?

そこの所長であります川野さんの人柄に多く触れつつ、
赤裸々にインタビューをさせていただきました。

編集長
編集長

この度はお時間いただきありがとうございます。早速始めていきます。
あいネットさんの方でされてる活動をまずご説明いただけますか?

あいネットは柏市から事業委託を受けていまして、
僕自身は社会福祉法人生活クラブというところの職員です。
千葉県で中核地域生活支援センターが平成16年に発足して、
割と早めにその事業に参入しています。

平成20年からは、柏市が中核市になったことから、
そこから柏市からの委託で福祉の総合相談事業を現在も行っています。

また途中で生活困窮者自立支援法というのが出来たので、それも受けて、
福祉の総合支援と生活困窮者の支援と二本立てでやっているセンターになります。

相談内容はホント、色んな相談が来ますね。

お金の問題から、健康上や何らかの理由でお仕事が出来なくなってしまったとか、
家賃を払えない、住む場所がない等・・・
年間1500件以上の相談をいただいてますので・・・

結構忙しくさせていただいてるセンターになります。

編集長
編集長

そうなんですね。ここからは突然、川野さんにフォーカス当てて
聞きたいんですが、ちなみに川野さんご自身はどうして
こういう仕事をしようと思ったのでしょうか?

同じような話を色んなところでさせてもらってるんですけど・・・
僕はホント、なんとなくでやってきたもので大層な事は言えないんですけど・・・

元々、小学校から野球部に入っていたんですね。

小2から野球をやってて、それなりに強いところでやってきたんですけども、
高校出る時に、結構周りでは、就職する割合が多かったんですね。
でも僕はすぐに働く決心もつかずどうしようかと・・・

人助けはしたいな・・・

とは思っていたんで、人の役に立ちたいなって想いに任せて福祉系の大学に入ったんです。
でも、なんとなくで入ったので授業もまともに受けて来なかったんですけどね(笑)

で、卒業を迎えて、就職も福祉系にはあまりしっくり来なかったんですよねその時は、
だから一般の所の面接をちょこちょこっと受けて、全て落ちて、学生課のところで
「こういうとこあるよ。」って紹介してもらったのが、

生活クラブの総合課

っていう福祉の現場じゃないところのお仕事だったんですよね。
で、面接を受けに行った時に、僕は福祉学科だったのでその大学でやった事を色々お話させてもらって、
そうしたら、

相談支援だったら空きがあるからどう?

と勧められて、人の役に立てるかな?って思ったのと、そんなに大変じゃないかな?(笑)
っていう、なんとも安易な理由で採用してもらったんですけども・・・実際やったら、

めちゃくちゃ大変で・・・(笑)

人の役に立ちたいっていうのがキッカケではありますw

編集長
編集長

はは。実際めちゃくちゃ大変ですよねw
ちなみに最初の段階で人の役に立ちたい!というのはあったようですが、
何故そう思っていたんでしょうか?

やっぱり自分が生きてきた中でも沢山、人に助けられて生きてきましたので、
僕も人を助けられたら良いな・・・って思ったんだと思います。

編集長
編集長

そうなんですね。ちなみに川野さんご自身は人に助けてもらったって
どんなところでそれを強く感じましたか?

いっぱいありますけど・・・

学生時代の友人達に支えてもらったのは実感としてありますね。

僕もそれほどじゃないですけど、やっぱり辛い時期もありましたから、
そういう時に友人達がいなかったら・・・ダメだったかもしれないですし・・・。

親に対しても、野球部を引退して、独り暮らしを始めてから
如何にそれを維持するのが大変かがわかったんですよね、お金の面とか。
やっぱり最初は気付けないと思うんですよね。自分の力だけでやってやるんだ!って
なっていると、全然気付けないんだけど・・・いざ自分の足でそこに立ってみると、

どれだけ実はお世話になっていたのか・・・

って凄く実感するというか・・・。有り難みがわかったというか・・・。

だから、人の役に立てる存在でありたいなって・・・思ったんです。

編集長
編集長

人助けしたい!そんな気持ちを持ちながらも、先程、楽かな?と思って
・・・という話がありましたが、実際めちゃくちゃ大変じゃないですか?w
それでも続けて来られているのはどうしてですか?

同期で入社した人がいるんですが、その人は僕が福祉やっている上で本当に尊敬する人なんですが、
今は船橋の所長さんやっているその人に悩んだら相談したり、色々お話聞いてもらったり、
支えてもらった、学ばせてもらったという感じがあります。

後は、

辞めない根性はあると思っていますw

編集長
編集長

はは。さすが野球部っ!w

そうですねw

後は、周りの人に恵まれているっていうのはあると思います。

辞めたいと思った時はなくはないんですが、やっぱり仲間がいてくれるのは大きいですね。
「つらいよね。」と言ってくれる仲間がいてくれるから、辞めない!っていう・・・。

編集長
編集長

生活困窮者の方の相談とかされてるとおっしゃってましたから、
やはり家族にも頼れない、孤独な方も多いですもんね。

川野さんの様に実感されてる方だから
そう言う方に寄り添えるのかもしれませんよね

そうですね・・・。そうだと良いですね。

家族にも相談できない、相談する気もなかったりとか、兄弟とも疎遠になってしまってたり、
早い方だと小学生ぐらいから、社会との接点を無くしてらっしゃる方もいて、
ご友人がいなかったりして

話そうにも、その相手がいなかったりもしますし。

今だとネットとかで出会いを作れる方は作れるのかもしれませんけど、
人との繋がりが希薄になりがちな方がやはり多かったりもしますので、
何処まで相談員として信頼して話してもらえるか・・・

いくら相談員と言っても赤の他人じゃないですか。

そこをどれだけ信頼してもらえるか、相談してもらえる関係になれるか、
まずは相手の立場に立って考える事が大切なのかなと思っています。

こちらが当たり前だと思っている価値観で、
「こうすればいいんだよ!」とか安易に言ってしまうのは良くないと思うので、
相手に寄り添うって事ですかね。

基本的なことですが、話をきちんと聴くことや思いを汲み取ること等を大切にしてますね。

編集長
編集長

相手に寄り添うってわかっててもなかなか・・・って方も
いると思うんですが、川野さんは寄り添う上で
どんなことに気を配っていますかね?

相談を受けている時に、長年やっていると

こうすればいいんじゃないかな?っていうルートがどうしても出てきちゃうんですね。

それを相手に押し付けたところで、相手は辛いだけになってしまうので
絶対にしてはいけないというのと、後は・・・

ご本人に決めてもらうって事ですね。

提案はさせてはもらうんですけども、どれがいいですか?みたいなところですかね。
それと・・・

焦らない!っていうのも大切だと思います。

結構、親御さんからの相談が多いんですけども、親御さんには理想があって、
こうあってほしいのに!ってところで焦っていたりするんですね。
それと同じようにこちらも焦ってしまうと、ご本人の状況、状態を無視して
就労相談に入りましょう!みたいになっちゃったりもするので・・・
冷静にいるっていうのは大切ですよね。

編集長
編集長

今、親御さんは焦ってるっていう話があったんですが、理想がある。焦る。
そりゃそうだ!と思うんです。そんな親御さんを落ち着かせる為に
川野さんはどんなお話されるんでしょうか?

親御さんも知らない事やどうしたら良いか判断に迷うことがあると思うんですね。

そこから不安になって、不安だから焦って・・・
私が生きてる間になんとかしなきゃ!この子はどうしようもなくなっちゃうんだ!という様な方や
あとは家族だけではもうどうしようもない、という場合もあります。

だから、まずは正確な情報を知ってもらう事が大切かなって思います。

例えば、

生活保護がありますよ。とか、こういう制度があって、
こういう支援が出来る機関があるんですよ。とか、
そう言う情報を正確に伝えて、そこまで焦らなくても良いんだよ。と
知っていただくのがひとつと、

お子さんの気持ち、親御さんだからわかってるつもりだとは思うんですが、
例えば、ご病気があるとか・・・精神疾患だとか、
僕らから見ると明らかにあるけど、ご両親的にはそうは思っていなくて、
だからこそまだ精神科とかの受診もしていなくて、
未だに根性が足りない!みたいなやりとりをされていたりとかもあるんですね。

だから、

正確な情報をしっかりとお伝えするというのは必要なのかなと思いますね。

編集長
編集長

追い込まれて悩んでいらっしゃる方は視野が狭くなってたりしますもんね。
視野を広げる為にも情報は必要ですよね。ちょっと話は変わりますが、
先程、辞めたくなった時もあった・・・と話されてましたが、
それってどんな時だったんでしょうか?話せる範囲で・・・ちょっと。

当初の所長さんが厳しかった・・・あ、尊敬していることは大前提ですよw
この業界では長くやってらっしゃった方で、地域や行政等からもとても信頼されている方でした。
僕も至らなかったので、認められていないなぁ・・・って感じてしまっていたんです。

だから、ケースを任せてもらえなかったりして・・・
仕事自体、そもそも社会で働くって事にも慣れていなかったので・・・
会議だったりとか・・・僕大嫌いなんですけど(笑)現場で動いていたいので。
権威がある人と話したりとか、大人と話す事とかホント苦手で・・・

そんな時は・・・ちょっと・・・辞めたいなって思っちゃいましたねw

編集長
編集長

そうなんですね。支援に関わっていてというよりは
会社内においての人間関係ですかね。

そうですね。支援自体は・・・確かに支援中とか相談対応中に
怒鳴られたりとか、机ドンっ!とか、そういうのはあったんですけど、そう言う意味では

野球部でよく怒鳴られてたり、当時は手も出ていた時代ですから(笑)

それと比べると・・・とは思えてますねw

編集長
編集長

そうなんですよね。僕も色んな相談受けますが、仕事内容とかで
悩んでる人より、職場の人間関係とかの方が悩みになってるんですよね
では、逆にやってて良かった!という実感はどこで得てますか?

わかりやすいので言えば、完全に引きこもっていた方が、
就労準備支援を利用されて、就職して、自立されて、
お手紙いただいたりっていうのはあるんですけど・・・

良かった!!っていう風にあまり感動してはいけないとも思ってるんです。

感情をぶらさないように意識しているというか、
困っていたり、何かの課題があるから相談に来る訳で、課題がなくなって、
ここに来なくなって、僕に頼らなくなって、

人づてに「あの人、頑張ってるらしいよ。」って
聞くのが一番嬉しいかもしれないですね。

編集長
編集長

凄いですね。心理的に言うと課題の分離ってやつですね。
精神的に相手の自由も許してる状態を作ってるんですね。素晴らしいです。

やっぱり、辞めていく職員もいたりするんですけど、

優しすぎたり、熱すぎたりする人は続かないような気がしますね。

やっぱり相談員って、その相談員次第で仕事の幅が変わるので・・・
とことん寄り添う事も当然出来ますし、最低限でサラッと終わりにする事も出来ちゃうし、
バランスなんだと思うんですよね。

冷たすぎず、優しすぎず

と言うところが大事なのかなぁとは思いますよね。

編集長
編集長

そうですね。相談員側が依存させない事も意識すべきとこですもんね。
ありがとうございます。ではまとめに入りますが・・・
自身のお子さんとかが引きこもりや生活困窮者になってしまう・・・
そんな状況の親御さんにお伝えしたい言葉はありますか?

もし、どこにも相談出来ていないのであれば、
支援機関、相談を受け止められる場所っていうのは沢山ありますので、

ひとりで悩まないでください。

というのはお伝えしたいですね。

やっぱり相談に来られる方で、家族だけで抱え込んでいたり、悩んで、辛くて、苦しくて、
もっと早く来てくださったら良かったのに・・・って想う事って本当に少なくないので、

もっと気軽に相談にいらっしゃってくださると良いなって思います。

勿論、確実に解決出来ます!とは言えませんが・・・

解決出来るまで一緒に悩んで解決を一緒に考える。

あいネットはそう言う姿勢で臨んでるセンターなので、
是非、気軽に相談していただければと。

編集長
編集長

一緒に考えてくださる川野さんみたいな方がいてくれたら
それだけでお守りみたいな感じで安心ですもんね!ありがとうございます。
最後に先程は親御さんだったんですが・・・、
ご本人がそういう悩みの渦中にある方にお伝えしたい事をお願いします。

引きこもりや生活困窮などのこういった相談支援をさせていただいてますけど、
それに携わる姿勢っていうのも色々あって、親子で解決すべきって方針のところもありますし、
YouTubeとかで話題になってる強制的に動くところとかもありますし、
どれが正解ってよくわからない・・・模索しながら日々、支援させていただいてるんですが、

当事者の方々も色々だと思うんですよね。
お金に実際困ってる方もいれば、お金には一切困っていない方もいたり、
孤独な方もいれば、友人はいるけど・・・と言う方もいたりして、

だから全て同じ括りで見るのは難しいと思うんですよね。

ただ、

何か変えたいけど、どうしていいかわからない、将来が何だか不安になってきた、
どうしていいかわからないけど、相談する相手もいない。
相談する相手を探すにも、どうしていいかわからない。

そう言う方もいらっしゃると思うので、

メールでもいいですから。

・・・電話って結構、覚悟がいると思うので、
僕もあまり人と話すって得意な方ではないので(笑)

もし、何か変えたいって思いがあるなら、
是非、気軽にどんな方法を使っても良いので相談してもらえたら、と思います。

うちのスタッフ、想いを持ってる人間が多いので、
本当に気軽にご相談いただければと思います。

終わりに・・・

終始、等身大の川野さんと言う存在を感じさせてくれる語り口調で、
嘘や偽りのない姿勢にとても安心感をいただきました。

相談する側の追い込まれてる状況を理解し、
しっかりと寄り添う姿勢の中に
支援し続ける難しさもサラッとお話しいただき、
多くの支援者の方々にも聞いて欲しい話だと思いました。

悩みに寄り添う上で大切な距離感は
相談者の意思をしっかりと聴き、叶えていく上で
本当に大切だと、自身も支援者である故に
改めて想う山田なのでした。

☆川野さんのいらっしゃるところ☆

施設名柏市地域生活支援センター「あいネット」
住 所〒277-0005
千葉県柏市柏5-8-12 教育福祉会館 1F
営業時間・定休日月~金曜日 8:30~17:15
(それ以外は転送電話、メール対応)
対応地域柏市
対 象児童未成年成人高齢障がい者不登校
対応内容相談
公式サイトhttps://ainet-kashiwa.net/
お問い合わせ(開所時間)月~金曜日 8:30~17:15
(それ以外は転送電話、メール対応)

緊急時については、時間外・土日祝日・年末年始もお電話でご相談のうえ、対応致します。

新型コロナ感染症の影響のため、あいネットへの電話(04-7165-8707)によりご連絡をください。
なお、現在電話が大変つながりにくくなっております。
メールの問い合わせフォーム(HP内)でも受付しております。
メールアドレス:ainet@kazenomura.jp

来所による面談希望の方は、事前に電話予約をお願いいたします。

インタビュアー:山田賢明
     編集:山田香綸