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Pick up インタビュー 生活訓練事業所「Kaien津田沼」サービス管理責任者 山中直

2024.02.20

生活訓練事業所「Kaien津田沼」サービス管理責任者 山中直

はじめに・・・

津田沼の雑踏の中、裏道を少し入りビルに入ると、
日差しも多く入り、暖かな空気の中で多くのご利用者様達が
今日一日を有意義に過ごそうと挨拶を交わしていました。

そんな穏やかな空気の中から一層優しい笑顔で登場したのが山中さん。
一言交わしただけで包み込まれるような感覚があり、
これからのお話が楽しみになります。

支援に当たられる方の人間性にもフォーカスする時間、
向き合う僕もワクワクします。
そんな山中さんにインタビューさせていただきました。

編集長
編集長

まず最初にKaien津田沼さんが行ってる支援って
具体的にどんな事なんでしょうか?

元々、株式会社Kaienというのが発達障がいの方の就職に力を入れてきたというところがあります。
その中で、就労の前段階の方、いきなり就労移行や就活に向かえない方に対しても
取り組んでいく必要性があるというところで、

生活訓練

というサービスも開始させていただきました。
当社の千葉県第一拠点ということで、2022年の9月に開所したばかりの若い事業所です。

生活訓練ってどういうサービスかっていうところからご説明いたしますと、
就労移行支援とか就労継続支援A型とかB型というのは【働く】という明確な枠組みがあると思うんですけども、

生活訓練というものにはそう言った明確な枠組みがないっていうのがあります。

利用期間としては2年間という就労移行と同じ期間が定められています。
当社としては就労の前段階として利用していただきたいと考えていまして、
メインは精神、発達の方にはなってきますけども、勿論、知的のボーダーラインの方も
受け入れさせていただいてる状況はございます。

どういった進路に進んでいっていいかわからないっていう方に
就労の前段階として相談もお受けしますし、また就労に向けての準備としてこちらで過ごしていただき、
移行する準備が出来たら、当社の方で就労移行支援も都内やここ津田沼にもございますので、
Kaien内での切り替えも出来ますので連携取りながらご利用される方の進路をサポートさせていただいてます。

勿論、他の事業所へ移られる事もサポートさせていただきますし、また福祉的サービスだけじゃなくて
勉学の方に進まれる方に対しての支援もさせていただければと考えていますので
とにかく、支援を望まれる方のこの先、どんな事であっても資料も含め、
様々なツールをご用意しておりますので、色んな方にご利用いただけるかなと思っております。

編集長
編集長

Kaienさんの幅広い支援について良くわかりました。ありがとうございます。
では、こもっとちばらしく山中さん自身にフォーカスしたいんですが、
ご自身は何故こういうお仕事をしたいと思ったのでしょうか?

私自身がこのインタビューを受けさせていただきたいと思った理由もそうなんですが、
引きこもり支援というものに元々興味がありまして、
以前では、訪問などを行ってる生活訓練事業所での職務経験なんかもあるんです。

そもそも、何故福祉を?というところなんですが、

私事ですが、家族にも【うつ】という状況にある人がいたりとか、
あと、周りにもそう言った状況の方が多くいたりとかしたのもありまして、
そういったところで力になりたいなって思ったことがひとつはあります。

それと・・・、

私自身が小学校6年生から中学の3年生まで不登校だったんですよ。

実際、休日以外、みんなが学校行ってる間、外に出られないっていう時期があったんですよね。
で、フリースクールに通って同じような境遇の方だとかと触れて、
苦しんでる部分を共有したりとかする事の重要性というのを、実体験から感じていまして、

そういった所を如何に作っていけるか。
私の実体験をそう言った方に還元していけるか。

で、福祉のお仕事を今させていただいてるという感じです。

編集長
編集長

なるほど、ご自身もそういった経験があったんですね。
デリケートな質問になりますが、山中さんが学校行きたくなくなっちゃった
理由と言うのはどんなものだったんでしょうか?

私の場合は、平たく言うと対人関係・・・

ダイレクトに言うと、イジメですね。

そんな私が何故福祉に?ってところで今話しながらまとまってきたものがあるんですが、
学校行かなくなって家に居た時に、仲の良い友達がちょいちょい家に来てくれたんです。
後は学校の先生が心配して来てくれたりとかあったんですね。

そこから、出られない人への訪問支援も良いなぁっていうのがありました。

実際問題として・・・まだ訪問してくれるところって少ないので、
この引きこもり問題とかと向き合う中ではそれは課題なのかなぁとは思っています。

私達の方でも

来てくれさえすればなんとかなる!

とは思うんですが、やはり引きこもってしまっている方に対しては
なかなか声が届かないところもあるので、そういう訪問してくださるところと上手くタッグが組めれば
問題解決にも一歩、進めるのかなぁという思いもありまして、
今回のインタビューも受けさせていただきました。

編集長
編集長

そうですよね。ご本人に如何に知ってもらうか・・・重要ですよね。
ちなみに現状、Kaienさんではどういう流れで
ここにいらっしゃる方が多いんでしょうか?

ご家族の方がホームページなど調べて、それで来てくださったりだとか、
掛かりつけのクリニックだったり、病院さんからのご紹介だったりとか、
市役所の事業所一覧から見ましたっていうものだったりとか、
相談支援事業所などからのご紹介も多いですかね。

編集長
編集長

また山中さんのお話を少し伺いたいんですが、先程フリースクールのお話が
ありましたが、実際通われて当時どういう風に感じましたか?

自分だけじゃないんだな。って感じましたね。

当時は社会的に引きこもりや不登校というのがあまりメジャーじゃなかった、
公に話そうとする人が少なかった、SNSもないそう言う時代だったのもありまして、

孤独感と言うのが本当に強かったんですよね。

そんな中で、フリースクールっていうのがあるよって教えてくれたのが学校の先生だったんですね。
で、自分だけじゃないっていうのと、

所属の安心感というのが凄く大きかったんです。

社会で自分だけが孤立しているのではないか?という孤独感って凄く強くて、
そんな中でフリースクールと言う場所に所属出来た、居場所があるっていう
自分が体験したあの安心感を欲してるのは自分だけではないだろうな、と思います。

なので、

今いさせてもらってるKaien津田沼というこの場所も
皆さんにとってそう言う場所になれれば良いなと思っています。

編集長
編集長

コミュニティーはいくつになっても人に必要なものですもんね。
ちなみに山中さんが不登校の時のご家族の対応はどうでした?

最初は「学校行きなさい。」でしたね。

ですけど、学校の先生に心理系に詳しい方がたまたまいてくださったのもありまして、
カウンセリングの先生をご紹介してくれて、そこで家族カウンセリングを受けていたのもあって、

「行け行け!」ってやるのを止めてみてくれないか?と言う話を
どうも、してくださってたらしいんですね。

後々知ったんですけどw

そう言うプレッシャーがなくなったのは大きかったですね。
思春期でもありましたから、言われれば反抗するみたいなのも強かったですし・・・w

で、自分で考える時間が増えて、今の自分はどうしたいのか?をゆっくり考えられるようになった、
その位置に居られるようになったのもありまして、

以前よりフリースクール言ってみなさいよ。なんて話があったのはあったので、
行ってみようかなぁ・・・って思ったのがキッカケで動きましたね。

編集長
編集長

とは言え、みんなと同じように動くべきだ!みたいなところから
なかなか抜け出せない方も多いというのが僕の印象なんですが、
山中さんがそこから切り替えられたのは何故だったんでしょう?

実際、フリースクールにも何にも行っていない時期っていうのがあって、
中学に入って、ふと、小学校の6年間・・・、中学校はその半分の3年間・・・、
その先の進路とかも決めなきゃいけないぞって思った時に、

あれ?そろそろ動かなきゃマズいぞ・・・。

って思ったんですよね。

今冷静に思うと、自分の将来と言うものに対しての悲観度が下がりきる前に動けたんだろうって思ってて、
そこは周りの環境、周りの人に救われたなぁっていうのが大きいですね。

やはり現実として、そう言う方ばかりではないですし、私の様に恵まれればそうなりますが、
そうでない人はどうやって切り替えて行くのかな・・・っていうのは、考えると胸が苦しいところですね。

私は本当にそう落ち込む前に自分で考えられたし、考えた先にこういうところ行ってみようかなって
浮かぶところがあったっていうのが、とても良かったんだろうと思っています。

編集長
編集長

今実際お仕事されている中で、悲観度の高い状態でいらっしゃる方って
やはりいらっしゃると思うんですが、そう言う方と接するときは
どんなことを意識されていますか?

やはり、その方の置かれてる状況のその苦しさは、私も先程話した通りわかりますし、

絶対に否定するべき事ではありませんよね。

とは言え、ご本人がその時諦めていたとしても、

我々は諦めてはいけないというのもあります。

希望を持っていただくまで!っていうのは支援に当たる上でとても大切な事だと思います。
なので、ご本人が今絶望感をお持ちである事も当然大事にしますし、お話も聞きますし、
アイメッセージですね。「私はこう思います。」という客観的な意見もさせていただきますし、
寄り添いながら、絶望の方に行き過ぎないようにお話をしていく感じですね。

後は、ご本人が楽しいと思える何か、SNSでもゲームでも何でも良いから
何かないかなぁ・・・っていうところを一緒に探していくのもあります。

それをキッカケに何かを掴んでくだされば良いなと・・・。

キッカケさえあれば、人間は何にでも、どんな者にでもなれるって
私の場合は実体験としてもそれは思いますので、皆さんに感じていただきたいですね。

小学校・・・中学も3年間学校と言う場所には行けませんでしたし、
卒業式も校長室でひとりで受けたり、まあ、色々ありましたけど、じゃあ今どうしてる?と言えば、

こうしてちゃんと働いてますよ。

っていうのもありますからね。

それが必ずしも正解って訳じゃないですけど、こういう道もひとつのモデルケースとして、
皆さんの何か参考になれたら良いなぁと思っています。

編集長
編集長

ありがとうございます。山中さん自身が経験してきた事だからこそ
本当に多くの方の力になりますよね。では、今現在、お子さんが不登校や
引きこもりで悩んでいらっしゃる親御さんに何か一言お願いします。

ご本人の気持ちというのは、ご本人にしかわからないってところがあるんですよね。
ですから、時に厳しさは必要だとは思いますけども、

まずは寄り添っていただいて・・・

かといって、寄り添い続けて、そのまま放置されるなんてこともあってはならないと思いますので

どこでも良いから吐き出す場を持つ事はしていただきたいですね。

やはり一番身近で関わっているご家族は凄くしんどいと思います。
学校やカウンセラーでも良いでしょうし、それが駄目なら公的機関、
当社でも実験的ではありますが取り入れようとしているところに
親御さんに向けての相談会のようなものもありますので、
そう言う場所を確保していただけたらと思います。

例えば、グループセッションの様なもの、親の会などでのそう言うものが出来ると、
ご家族にそういう方がいる者同士の

仲間が出来ると思うんです。

先程も何処かで言いましたが、ひとりじゃない、孤独にならない事は大切ですので
ご家族向けのそういった場、コミュニティーは活用していただけると良いと思います。

私のところもカウンセラーが入ってくれたり、学校関係者の方が入ってくれた事で
親の方が抱え込まないで済んだというのが大きかったように思うので・・・

抱え込まないでいただければと思います。

編集長
編集長

今、社会問題になってる8050問題なんかも抱え込んだ結果ですもんね・・・。増え続ける引きこもり問題の解決策なんてどう考えます?

とにかく業界全体が横の繋がりを作っていく事なのかなと思っています。

当社は来てさえくれればどうにかなるっていうところなんです、専門家も多いですし・・・
しかしながら来てさえくれれば、というのだけでは・・・という事で
特例ではありますが、行政が許可してくれればZoomなんかでのリモートでの参加っていうのも
当社では出来る様にもしたんですね。見学もそう言う形でしていただく事も出来るんです。

ですが、やはり、例えばZoomなどの設定が難しい人に対してその設定を現地で・・・とか、
そもそもそう言う気持ちになっていただく為にそばで話をしていく・・・とか、
そう言う事に関しては私達ではなかなか難しいところですので、

他の事業所でそう言う事を得意としているところがあれば、
各々の強みを活かしてこの問題と向き合っていけるのかな・・・と私個人では思っています。

事業者同士、それをライバルと見るのか仲間と見るのか・・・
難しいところはあるとは思うんですけども、やはりこの大きな問題の解決に向けて
それと向き合っていくという共通の目標に向けては仲間だと思いますので、
私個人としましては、横の繋がりを広げて連携していく事が一番かなと思っています。

編集長
編集長

割とディープなところ聞かせていただきましてありがとうございます。
では最後に引きこもってしまってる
ご本人に対して何か一言いただけますか?

本当に希望もなく、凄くつらい状態にあると思うんですよね。
軽々しくは言えませんけども、本当に孤独で苦しい状況だろうと思います。

まず、言える事として、

あなたと同じような状況にある人と一緒に過ごしてみてください。
あなたと同じような状況にあった私のような人に逢ってみて欲しいと思います。

勿論、私のような道が全てではありませんし、
こうすれば絶対上手くいく!なんてものもある訳ではないんですけども、

その後、どうにでもリカバリー出来ますし、自分なりの人生を歩む事は出来るんです。

みんなと同じルートじゃなかったとしても、自分にはこういう生き方がある!って
思わせてくれるような機関は、このKaien津田沼以外にも沢山あります。

そういった所へ一歩、勇気を持って踏み出してもらうと良いと思います。
私の場合は今の私がありますからね(笑)

どうにか、なるようになります!

ってところですかねw

私個人の経験から、私個人の感覚になってしまいますが、

なんとかなるっ!

編集長
編集長

はは!ごめんなさい。最後って言っておいて、僕個人の興味なんですが、
山中さん!今、何が幸せですか?最後の最後に聞かせてください。

あ~なんだろう・・・

なんでも幸せですねw

極論ですけど、

生きてるだけで幸せですね。

自分の過去の経験から来るものでもありますけど、
あそこから少しでも上がっていれば、昨日よりも少しでも違う自分がいれば
それだけで幸せですかね。

変な話、昨日自分が死にたいと思っていたとして、
今日生きているなら・・・

それだけでも幸せって思っていいんじゃないかな。

ってそう思います。

終わりに・・・

自身の人生に迷った時に、それを助けてくれると確信を持てる場があれば、
どんなにか気持ちが楽だったろうか・・・
山中さんのインタビューをさせていただきながら、
自分自身の人生を振り返り、そんな事を思っていました。

人が生きていく上でどうしても大切になってくる就労。
とは言え、そこにストレートに向き合える方ばかりではない・・・
こういう暖かな場所で、優しく支援を受けながら、
自信を取り戻し、就労の準備に徐々に当たっていけたら
きっと悩んでいる多くの方の問題も解決に向かうんだろう・・・
そう想う山田なのでした。

☆山中さんのいらっしゃるところ☆

施設名生活訓練事業所Kaien津田沼
住 所〒274-0825
千葉県船橋市前原西2-12-9
大生ビル4階
営業時間・定休日月曜日~金曜日(祝日、年末年始を除く)
対応地域千葉県全域
対 象障がい者
対応内容訓練リハビリ就労
公式サイトhttps://www.kaien-lab.com/
お問い合わせ〒274-0825
千葉県船橋市前原西2-12-9 大生ビル4階
月曜日~金曜日(祝日、年末年始を除く)
050-2018-7832

インタビュアー:山田賢明
     編集:山田香綸