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Pick up インタビュー 家族・子育て相談室「ゆずり葉」代表 後藤弘美さん

2022.09.07

家族・子育て相談室「ゆずり葉」代表 後藤弘美さん

はじめに・・・

家族・子育て相談室「ゆずり葉」代表
不登校専門サポート☆Wish代表
臨床心理士
認定心理士
千葉県子どもと親のサポートセンター教育相談研修等事業講師

様々な肩書と、経歴をお持ちの後藤弘美さん。

我が子の不登校体験から実感した事をもとに、
子育て、家族関係の悩み相談を中心に支援活動をし続けている
家族、子育て相談室「ゆずり葉」

心理士として真っ直ぐに相談をくださった方と寄り添い続けて
30年以上・・・。

その活動の出発点から、問題解決へのご意見まで赤裸々に語って頂きました。

編集長
編集長

不登校や引きこもり問題に取り組もうと思ったキッカケを教えてください。

それはもうハッキリしてて、私の子供が不登校になったことがキッカケですね。

で、当時は私も何処に頼るべきか全くわからなくて、まずは役所の窓口に行ったりとかしたんだけど、
なんだかそこで言われる事もハッキリしなくてね。色んな窓口に相談してみるんだけど、
やっぱり、問題解決にはならなくて・・・それで、もう自分でそういう場所作っちゃおうと思ったんですよ。

本当に寄り添って問題解決出来る場所を私がね。

編集長
編集長

今ちょっと聞いてびっくりしたんですけど、
ご自身のお子さんの事も見ながら、解決してくれる場所を作ろうって
「ゆずり葉」を立ち上げたってことですか?

まぁ、そうですね。

だけど正確に言うと、子供の方の対応の方が先ではありました。
その頃は、父親いたけど、すごく多忙で出張も多くて、ほとんど母子家庭だったのよね。
それもあって、子供と物凄く密着できたんですよ。

で沢山、接する中で子供と向き合う環境作りが大切って思って、
そうしたら問題は家庭内にも多くあるな・・・って気付いたんですよね。

だから夫婦関係の改善から始まりましたね。

それで「こういう事でやっていくから協力してね」ってパパにしっかりと伝えて
協力してもらって・・・そういうのは本当に大切ですよね。

編集長
編集長

環境作りですね。確かに!それは大切ですね。

で、凄くうちの子って繊細で、気遣いが出来る性格だったんだけども「まぁ、いいじゃん!」っていう様な心境に
なれるように私が毎日の生活の中で・・・まぁ言葉の使い方ですよね。会話の仕方を工夫するというか・・・。
どういう言葉をどういう風に使っていくかっていうのをすっごく研究しましたね。

で、あの子の心配とか不安とかそういうのがなるべく無くなっていくような、

そういうポジティブな会話とかをどんどん入れ込んでいって・・・先にそれをしました。

で、結構子供が安定してきて、「おーだいぶあの子ポジティブになってきたなぁ」って
そう思えるようになってから、相談室「ゆずり葉」の方も手をかけようって、
人を集めて、ってね。そんな始まりでしたね。

編集長
編集長

なるほど、まず自分のお子さんで色々試してみて、
まぁ試すって言い方変ですけど、試してみて実感しながら
「ゆずり葉」を立ち上げ、活動してきたって事ですね。

そうそうそうそう。

自分でやったからこそ、言葉の使い方変えたり、態度とか表情とか変えたり、

夫婦関係を変えたりすると、
こんなに子供って変わる!!

っていう実体験をしちゃったんですよね。

家族療法や認知行動療法などいろいろな心理療法を勉強して実践してみたことで変わったので
「ねーねー!これやると変わるよ!」みたいに誰かにお伝えしたいんですよね。

編集長
編集長

なるほどなるほど。そういうの大事ですよね。
じゃあ、ちょっと種明かしみたいですが、
気をつけるべき言葉がけってなんなんでしょう。

あのね、まず日本人ってパートナーにも子どもにもね、悪いところ探すの天才。
そして注意するの天才なんですよね!

で、欧米なんかだとね、例えば他のママとか学校の先生なんかが
「お宅のお子さんこういうのができて、足も速いしすごいわね!」ってなんて言ってきたら、
欧米では「お~、サンキューそうなのよ。」って肯定するんだよね。

でも日本の場合は「お宅のお子さんすごいわね」って言われた場合には
「えぇ~とんでもない。家にいる時はこのバカどうしようもないのよ」って謙遜して言っちゃうのよね。

そういう国民性の違い。まずそういうのがすごく大きいと思うよね。

編集長
編集長

つまり、いいところを見つけて褒めていくようにしていく、
って感じですかね。

まぁ単純に言えばそうですね。
そうすると今度子供がワガママになるんじゃないかって風に思いがちなんだけれど、

私が実践したのが「あ、君の気持ちはすっごくママわかるよ。」って
気持ちは受け止める事なんです。

だからといって行動面でいけないことをするのはダメだよ。って言う。
気持ちは受容するけど、あくまでもダメなことはダメと伝えなきゃいけない。
ものすごく単純なんですよねそこは。

ほんとにひとつひとつ毎日の実践が大切なんですよね。
最初のうちは「この場でなんて言おうかな」とか「どういう言い回しにしようかな」って
ちょっと考えるところがあってもいいんですよ。

どうしても親だから心配になると言葉の数が増えるのよね。
「こうしないとこうなっちゃうわよー」みたいなネガティブな会話が
増えがちになっちゃう自分に気付くことが大切なんですよね。

「こうすればきっとこうなれるよ」っていうポジティブな会話の使い方とか、
そういうのをちょっと意識しながらやっていったら、まぁ子供がどんどんどんどん変わっていく・・・

編集長
編集長

確かに。それってほんと原点回帰なんですよね。
親が敵になっちゃったら救いがないですもんね。
今の後藤さんの話だと、そこでやっぱ親が味方であり続ける。
それを意識していくってことですよね。

そうですね、特に日本はさ、褒め言葉で「真面目なんです」って言うじゃないですか。
あれって欧米だとね「この子真面目なんです」って言ったら「え?」って引くのよね。
つまらない子だな、っていう意味で。
「こんな個性があるんです」って欧米では言うのよ。
だけど日本では突出した個性よりも、みんなと同じような問題のない個性・・・
なんか、そういう感じの風潮があるのよね・・・。

編集長
編集長

これ日本の文化ですかね。下の個性と上の個性。
その価値観に重きが置かれてるというかね。
「勉強についていけない」これも個性ですもんね。

日本的に言えば下の個性。
そういうお子さんを持っている親御さんはどう捉えるべきだと思います?

今山田さんが言ったのって勉強の出来不出来の下のラインていうような意味ですよね?
わたし常に思うんだけど、全体を見てほしいんですよね。
子供を全体的に見て、例えば勉強が出来るとか出来ないとか、スポーツが出来るとか出来ないとか、

いずれにしてもその子の一部分なんですよね。
だから「勉強はちょっと苦手なんだね」って。

だけれども他のところを見て・・・その子がなんかすごく興味を持っていることとか、
「これだったら僕が負けないぞ」っていうようなものを持ってたりとか、
そういうところを親がね、うまく探してあげることが大事だと思うんですよね。

だから欠けているところにフォーカスしすぎて、子供の良さを見失いそうになってる親が多いんですよね。

だからもっと視野を広げて「子どもを点で見てはいけない」ってわたしよく言うんですよ。

「全体像、面で見なさいって。そうすると絶対いいところが
      いくつも見つかってくるんですよ。そこをフォーカスして。」ってよく言うのよ。

編集長
編集長

間違いないですね。良いところにフォーカスしていくと葛藤しますよね。
学校に行かせなくてもいいような気がするけど

行かなきゃいけないような気もする、みたいな。
そこで悩んでいる親御さんにはどんな言葉をかけます?

やっぱりね学校はその子の行動の一部でしかないんですよね。
だからこここだけにフォーカスするんじゃなくって、わたしの周りには何人かいるんだけれども、
新聞を読んだり、ネットで世界情勢や日本情勢を色々見たりするのがけっこう好きなんです、なんていう子には
「じゃあもっとどんどん新聞読もうよ。」ってので良いと思うのよね。

そしたらそこでね社会の勉強してるようなものじゃない?世の中何が起こっているかとかね。
政治経済なんかが入ってくるしね。

だから勉強っていうのはさっき山田さんが言ったみたいに、机上で教科書広げることだけじゃないんだよね。

勉強の形って様々ある。だからそういう視点にまず立ってみてほしいんだよね。

後、わたしよく思うのはね、ものすごく学業優秀で、スポーツも万能で、一流大学に合格しました!
なんていう子がさ、稀に鬱になったりなんなりで来たりするんですよね。疲れ果てて。

聞いてみると、生活力がなかったりして・・・だから今、学校行けない子達はさ、生活力バンバンつけちゃえば
いいんじゃない、ってこともよく言うんだよね。そうすると生活力はね、人間が生きていくのに
死ぬまで大事なんですよね。家事全般ができる。掃除洗濯、調理。それができるってすごく大切なことなんだよね。
その力を学校に行ってない間につけちゃおうよって。それを体得しちゃうと、学業は後付けができる。
そういうことも親御さんによく話してます。

編集長
編集長

確かに!なんなんですかね。常識のラインがあるじゃないですか。
そこから外れることを怖がってはいけないんですよね。
なんで勇気が持てないんでしょうね。世の中の親御さんは。どう思います?

まぁわたし日本人の国民性が土台にあると思うんですよね。
真面目、勤勉、約束は必ず守る、学校行かないで家にいるなんていったら
「世の中に出ていけないぞ!」とか「そんなことじゃ世の中に通じないぞ!」とかさ、
よくそういうこと言うお父さん多いんだよね。

編集長
編集長

根拠ないですけどね。

ないですよね?

だからその真面目にレールに沿って生きていれば、安心なんですよ親が。
むしろどっちかというと親自身が抱えている子供に対する不安とか心配を
子供に行動取ってもらって解消したいっていう、そんな感じなのよね(笑)

自分の心配や感情的なものは自分でコントロール出来た方が良いんですよね。

他者と比べない!周りにどう思われどう見られるかではなく、

自分がどう思いどう感じるか!が大事なんです。

編集長
編集長

正に課題の分離ですね。今不登校だったり、引きこもりだったり、
悩んでいる当事者だったり、関係者に一言いただければと思うんですけど。

学校に行きづらい、それから社会に出づらい、そういう子たち、そういう人達って・・・
その人達が出て行こうとする集団とか社会とかが、なんだかストレスなんですよね。

合わない、そう、私は合わないだけのことかなって思うんですよ。

あなたにとって合いそうなスタイル、生きやすいスタイルってどんなスタイルなんだろうね?っていうのを、
一緒に見つけていく作業っていうか・・・その心理面のサポートと、それから環境的な実際生活面のサポートと、
そういうものが必要だと思うんですよ。学校の調整、家族の関係の調整もね。

それを一緒にやりたい!っていうのがわたしから今動けない人たちに送りたい言葉ですね。

編集長
編集長

後藤さんのような人と出逢って、
一緒に考えてもらえれば、そんな心強い話はないですね。

出口が見えない子供達にちょっと光明が差すような、そんな存在になれたらいいなって思うんだよね。

引きこもっていた20代の男性で「出たいんだけど出られない!家の壁を壊してくれ!」って言った人がいたんです。
だから心の中では「自分も外に出たい!周りの人と同じように出てみたい!」っていう気持ちが
絶対どこかにあるんだろうと思うんですよね。だけれども、勇気も力もない・・・
だから「家の壁全部壊してくれ!」って、強制な何かが欲しいって言ったようなのね。

そしたら「外」になるじゃないですか(笑)それは凄い腑に落ちたのよね私。

編集長
編集長

そうですね、引きこもれる環境があるから引きこもれるんですもんね。

だから心理面においてもこうガチガチに固まってしまって、隙間もないところに

なんかちょっとしたヒビでも風穴でも開いたら、
中の淀んだ空気をちょっとかき回せるかなぁって。

無変化の淀み切った感じより絶対良いと思うんです。そんなイメージですね私がやってる事は。

終わりに・・・

まだまだ引きこもり支援団体が千葉県に目立って存在しない頃から
娘さんの問題と向き合いつつ、その成果も含め
支援に活かし続けてきた家族・子育て相談室「ゆずり葉」の後藤さん。

インタビュー後も話してくださった話も、
とても引き込まれる素敵な話で時間を忘れて話してしまいました。

娘が不登校にならなかったら、私は自意識過剰な勘違い親だった。
娘が不登校になってくれたおかげで、私の人生はとっても興味深く充実したものになった。

そう語る後藤さんの笑顔は
数々の苦労、悩み事の先に差す日の光のようで
皆さんの闇も照らしてくれる事間違いなしと思う編集長でありました。

☆後藤さんがいらっしゃるところ☆

施設名家族・子育て相談室「ゆずり葉」
住 所〒279-0022
千葉県浦安市今川4-8-27
営業時間・定休日受付時間 平日、土、日、祝祭日 9:00~18:00
対応地域千葉県全域
対 象児童未成年成人不登校
対応内容相談復学居場所
公式サイトhttp://www.yuzuriha-wish.com/
お問い合わせ電話またはメールにてお受付しています。
mail:hgoto2020@nifty.com
tel:047-380-5582
代表:090-4025-2282
(受付時間 平日、土、日、祝祭日 9:00~18:00)

インタビュアー:山田賢明
     編集:山田香綸