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Pick up インタビュー 一般社団法人エプロン 代表理事 松江由紀さん

2022.06.24

一般社団法人エプロン 代表理事 松江由紀さん

はじめに・・・

介護・認知症から日々の困りごとまで。
随時専門スタッフが相談を受けるカフェが存在する。

そんな噂から知ったエプロン高根公団カフェ。

その代表理事である松江由紀さん。

彼女がこのカフェに寄せる想いに迫ってみた。

編集長
編集長

こういう活動を始めたキッカケを教えていただいてよろしいでしょうか?

一番のきっかけは母が認知症になったことです。
ずっと会社員をしてきた私にとって、母が認知症になったことはすごく大きな事件で、
この先どうなるんだろう…という大きな不安がありました。

そういった時に話しに行く場所がないな、と感じたことがきっかけです。

編集長
編集長

市役所とかそういった窓口がありますが、
それでもそう感じたのはなぜなのでしょうか。

介護保険を払っているにも関わらず、市役所=介護、認知症という発想がなかった。

今思えば公共の機関にたくさんそういうところがあるので、
今だったらそういうところに行くんでしょうけど、当時は全然そう思えなくて。

こういう時人はどういうところに相談に行くんだろう?誰に話すんだろう?と思いました。

編集長
編集長

そうですよね。困り事ってなって初めて困る訳ですもんね。
そこから、何故、エプロンカフェ設立に辿り着いたんですか?

出逢いは「認知症カフェ」(オレンジカフェ)ですね。
母が認知症になって、どこに話をしに行ったらいいかという時にたまたま検索して引っかかったのが

「オレンジカフェ」でした。

調べたら、認知症の方や家族の方がそこに集まって情報交換したり、お話をしたりするような場所だと。

さらに調べてると、船橋市が認知症カフェの立ち上げ支援セミナーというのを開催していたんですよね。

認知症カフェについて知りたかったので、そのセミナーを聞きに行きました。

色々な事例がありましたが、語弊を恐れずに言うと

常設しているカフェではないんだ・・・ってガッカリしたんですよね。

編集長
編集長

そうですよね。イベント的に開催しているイメージですよね。

私は会社員だったこともあって、月に1回とか決められた曜日にしかやってないと
とても行きにくいって感じたんですよね。

いつでも行ける、常設している認知症カフェがあったら良いのに・・・で、

私の性格なんですけど、セミナーに参加したらやれそうな気がしてしまって(笑)
「やろう!」と思ったんです(笑)

でもね、自分がやるんだったら・・・
そもそも「認知症カフェです」という看板で気軽に人は来ない!とも思ったので、
店構えは普通のカフェにした方が良い!って段々構想は今の形になっていったんです。

ご飯を食べるとかお茶を飲むとかそういうことをきっかけに、
実は介護でこういうことが困っているとか、そういう話ができるようなのが良いなって。

編集長
編集長

すごい!当たり前ですけど例えば認知症カフェとか障害者の作業所とか
あるんですけど、一般の人が入っていいのかとか、迷っちゃいますよね。

でも実は今このお店も「入っていいんですか?」とおっしゃる方はまだいらっしゃいますよ(笑)

編集長
編集長

実際立ち上げてみて、いかがですか?

すごくたくさんの予想外のことがありました。

まず飲食店としてのニーズが非常にありました。

近所にも美味しいレストランもありますから、
飲食店としてのニーズはそんなにないのかなと実は思っていたんです。

蓋を開けてみたら、一人でお住まいの方だとか、高齢になってきたので自分たちで食事をするのが面倒くさい、
とかっていう方たちは一人でも食べられたり、二人分で食べられたり、とかするようなことがあって。
人が手作りしたものを食べたいという方がけっこう来てくださっていて

飲食店経験のない私にとって嬉しい予想外ですね。

編集長
編集長

飲食店としてニーズがあることが予想外とおっしゃっていましたが、
当初はどうやってここを経営しようと思っていたのですか?

一番の予想外はコロナです。私が会社を作ったのが、2019年の10月。
2020年の3月にこの店をオープンしましたが、そのあとすぐにコロナでした。
2ヶ月店を休まねば行けないほどコロナに勢いがあって・・・あれは参りました(笑)
コロナがなければ、私の事業計画のなかでは全然平気だったんですよ。

とはいえ、これも予想外な展開で・・・
介護や悩みというのはコロナだからなくなるわけじゃなかったんですよね。

お客様が減ると思っていたら、コロナで外に出られないとか、施設がお休みになっちゃったりとか、
介護の当事者の方の行き場所がなくなるということが沢山起きたりしたんです。

コロナ禍でもお店を安全に続ける事が求められてると感じました。

編集長
編集長

嬉しい誤算の中でコロナの流れもカフェに向いていたって事ですね。
で、実際その一番の目的である認知症の関係者の方の反応ってどうです?

当事者の方がいらっしゃいます。

本人が認知症だと思ってらっしゃるかはどうかわかりませんが、認知症の症状を見せられる方もいらっしゃいます。

ご家族で認知症の方を連れて来られる方もいらっしゃいます。

あとは認知症だけでなく、脳卒中だとか他の要因でちょっとお体が不自由になっていらっしゃる方が
いらしてくれたり、そのご家族の方がいらしてくれたり。

介護や認知症をきっかけに来てくださっている方がいらっしゃいます。

編集長
編集長

では、目的はバッチリですね☆

そうですねぇ。

次の課題にうつると、今度はその方達とどのように関わってふれ合っていくか・・・

これに関しては答えがない世界なんですよね。正解がない。

編集長
編集長

そうなんですよね。100人100様ですもんね。
既存の用意されたものじゃ間に合わないものもありますよね。
実際ここに来られる方の相談内容ってどんなものが多いんでしょうか?

まず介護保険について知らない方がとても多くいらっしゃいます。
保険証のように使えると思ってらっしゃる方が多くて。

でも実は介護保険というのは申請をして介護度がついて初めて使えるものなので、
「母が認知症なんだけれども」ですぐ使えるわけではないんですよね。

なのでその介護保険について知りたいという方とか、どこの病院に行ったらいいですか?とか
自覚の無い本人を病院に連れて行くきっかけをどんな風にしていったらいいか?とか。

私が最初に感じたような、これからどうしたらいいんだろう

次の一歩はなんなんだろうっていうことをおっしゃる方、
そういうことで悩む方が多いなと思います。

編集長
編集長

こういうレベルの悩みだと市役所とかの窓口よりかは、
やっぱりご近所カフェという形の方が話しやすいのかもしれませんね。

とはいえ私もこの店をやるようになって、市役所だとか包括支援センター、在宅支援センター、
社会福祉協議会だとか色々な福祉関係の方にお会いしましたけど、
みなさんとても人当たりがいいし、とても優しくって、すごく色んな事を知ってらっしゃいますから、

やはりそこに行くことが解決の近道ではあるんです。

ただ、それを知らない人が多いのでこの店の役割としては、
そのような解決に近づけるかもしれない、解決手段を持っているところに繋いであげること。
きっかけになる事なんだろうと思っています。

まずここに来ていただくのが一番!じゃなくて、

ここに来てる方のお話をお伺いして、楽になれる。少し解決できる。ほんとお手伝いですね。

プロや公的機関との橋渡しというのがひとつの大きな役割なのかなって。

編集長
編集長

素晴らしい!ちなみに、世の中的にもっとこうなればいいのになぁ
っていうことはありますか?

「春になると花粉症の人が増える」みたいに、「高齢者になれば認知症の方も増える」という図式があるんですね。
健康診断にいくとなんでも「老化現象」で私も引っかかって。「老化現象」のひとつが認知症なんですよね。

特別なものではない!から恐れなくていいよ。

ということをあの時の自分にも伝えたいし、これから出逢う方にも伝えたいですね。

認知症になったからといって、明日からすぐに何かがわからなくなるわけではないし、
大事なことをすぐに忘れていくわけでもないし、ほんとに進み方も人それぞれですから、恐れないこと。

年を取っていくことだとか、何かが不自由になっていくことについて、恐れないでほしいし、
なにより自分がそうありたいっていうだけで願いを込めて言いますけど(笑)
年を取っていくことを楽しく、究極生きていればいい!そう思えたら良いのかなって感じがします。

編集長
編集長

松江さんも最初そうだったとおっしゃってますが、
一般的に認知症って怖いってイメージですよね。
だからこそ、安心していいよと言われてもちょっと怖いですね。

まあ、そうですよね(笑)でも本当に実際はそういうもんじゃないんです。

編集長
編集長

そうなんですね。実際、支援に当たられて
「あぁ、この話はいいな」とか「すごく良い家族だな」って

感動した話はありますか?

たくさんあります(笑)

編集長
編集長

やっぱりね!だから言えるんですもんね。

楽しそうだなって思うことが多いですよ。ここにいらっしゃるご家族を見てて。

あとは受け入れられてる方は待てるご家族も多いですね。

認知症の方が何度か同じことをされていても、それを怒らずお話されている姿を見ると・・・
私なんかすぐ怒っちゃうので(笑)いいなーと思います。

編集長
編集長

素敵だなぁ・・・。
最後に、迷っている方、今不安でどうしようもない方に向けて、
何か送るメッセージをいただいてもいいでしょうか。

よく介護について、優しくなれないというご家族の悩みが一番多い。

つい怒っちゃってるとか、嫌になっちゃうとか、それね、みんな同じなんです。

だから一人じゃないよということを知るために、こういうところに通じてほしいなと思います。

オレンジカフェ、船橋市内にはたくさんあります。船橋市のHPに載っていますので、
お近くだったり、行きやすい場所のところに是非顔を出してもらえたらなと思います。

必ず気持ちが楽になれるんじゃないかな。

介護に正解はないです。

誰かと比べて「ちゃんとできていない」とかあの人は「ちゃんとできている」とか、そんな基準はどこにもない。

みんなできないんですよ、
やったことないんですから。

なので自分を追い詰めることなく、もっと気楽にオレンジカフェに出掛けていただけたらなと思います。

終わりに・・・

世の中に対して、必要だと感じるものを精一杯やる!
そこに関して現実的な事も含め、僕自身も多く学びを頂きインタビューを終えました。

暖かいお話、厳しいお話、決して現実逃避ではないしっかりとした考えで
お越しになられた方の問題を確実に解決に向かわせる方なのだと強く感じました。

真っ直ぐで嘘偽りのない経験談や、的確な知識が魅力の松江さんでした。

☆松江さんがいらっしゃるところ☆

施設名エプロン高根公団カフェ(一般社団法人エプロン)
住 所〒274-0065
千葉県船橋市高根台1-2-2
高根台プラザ1階
営業時間・定休日月~金 10:00~17:00
・土曜日はイベント開催日。
認知症、介護講座、子ども食堂等。
・日・祝日休み、年末年始・夏季休暇・その他店休日あり。  
対応地域千葉県全域
対 象成人・高齢・障がい者
対応内容相談・居場所
公式サイトhttps://www.facebook.com/apron2019
お問い合わせ一般社団法人エプロン
「エプロン高根公団カフェ」
電話番号:047−779−4662
〒274-0065
千葉県船橋市高根台1-2-2
高根台プラザ1階

インタビュアー:山田賢明
     編集:山田香綸