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Pick up インタビュー 特定非営利活動法人【セカンドスペース】上級教育カウンセラー 成瀬榮子

2023.11.14

特定非営利活動法人【セカンドスペース】上級教育カウンセラー 成瀬榮子

はじめに・・・

真新しい千葉県都町合同庁舎の4階
扉を開けると優しい笑顔で迎えてくださった成瀬さん。

動画を回しながらインタビューに入ろうとすると
恥ずかしがりながら、外したマスクを再度着けていましたw

微笑ましいそのやりとりとは対照的に活動への実直な姿勢は
力強く、エネルギッシュなものを感じます。

カウンセラーとして様々な事例と向き合い続け、
様々な活動を通して心理教育にも力を入れている
その素晴らしい活動の経緯、キッカケも含め
インタビューさせていただきました。

編集長
編集長

まず成瀬さんが行ってる活動、色々あるので全体像を
皆さんにお伝えしたいんですが、どういったことを今、行っているんですか?

現在、千葉県からの委託で運営しているライトハウスちばでは、お父様お母様の相談。
それからご本人からの相談。加えて、関連機関からの相談もあります。
言ってみれば0歳児から39歳までの若者の支援ということになります。

セカンドスペースという様々なニーズに応える取り組みも行っているんですが、
そこは49歳ぐらいまででしょうね。

編集長
編集長

ちなみに成瀬さん自身がこういう活動に尽力していこう!と思ったのは
どんなことがキッカケだったんでしょうか?

40年ぐらい前になるかしら。
心理学というものを若い頃に学びまして、ずっと使わずにいたんですが、
子供が大学に行きまして、一段落したものですから、

働いてみようかな!

と思いまして、子供達や主人に聞きましたら、了承が得られましたので
働いてみようと思ったんですね。

その時、資格というものがありましたので
カウンセラーとしてやっていこうと思ったんです。

その時はまだ不登校という言葉は、私は聞いた事がなかったんですね。
学級崩壊って言葉が新聞に載り始めた頃で、学級崩壊から引きこもり、不登校って
世に注目されてきたんですけども、カウンセリングをやり始めたら、

こんなにも沢山、不登校の子がいるんだ・・・。

って驚いたんですね。で、何人かカウンセラーの方はいらっしゃったんですが、
私のところに朝の9時から18時、19時、20時まで相談があったんです。

最初の内はそうして若い子達や保護者の方々にカウンセリングを行っていたんですけど、
そうしている内に、今度引きこもりなんて人達が出てくると、
対象年齢を20歳以上にしたりして、やってきました。

で、そうして不登校、引きこもりの問題と向き合わせてもらっていると、
本人が出て来れない状況で親御さん達の相談だけを聞いていても
埒があかない事が沢山出てきたんですね。なので、
訪問もするようになったんです。

訪問を支援内容にしている中ではかなり古い方に入ると思うんですけども、
そうやって訪問させていただくと、
お病気かしら?と思う時もあって、病気です。と判断できるのはお医者さんですから、
そこで今度はお医者様にもあちこちに電話かけて、お願いして回ったんです。

お引き受けしてくださる病院もありまして、医療に繋げるって事も出来ました。

そうこうしている内に、ずっとカウンセラーとして働いていた
その会社を辞める事にしたんです。というのも、

これだけの悩んでいる人達が集まっているのに
カウンセリングだけでは無理なんじゃないのかな・・・

と私は思ったもんですから、一緒に働いていた若い人達に聞いてみたんですね。
そうしたら、

何か今までとは違う居場所があった方が良い!

という話が出てきまして・・・今までも居場所があったにはあったんですけど、
ただ集めるだけ集めて、何もしないって感じだったので

それでは良くはならないだろう。

って事で週一回、お休みのところを居場所づくりに専念するところから始まって、
先程述べた通り、会社を辞めるって事に至ったんです。

そこから始めたのが英会話画廊喫茶でした。

編集長
編集長

え!!色々詰まってますね!英会話と画廊ですか!?

私、実は絵を描くのが好きで、賞をもらったり、入選もしていましたので、
画家の人達が友達に多くいましたから、画廊も絵を無料で飾ってくれたりとかしまして・・・。

後は、英会話の方は英語を学ぶのが好きだったので、国際交流にも参加していましたので
外国人の方にお願いしてやっていました。

そこら辺に歩いている外国人に声をかけて、手伝ってもらったりしてましたね(笑)

会員の方達に対してお茶を出すぐらいでしたら、普通の事ですし、
そんなに面倒な制約もありませんから、

そういう事で英会話画廊喫茶って居場所の提供を行ったりしていました。

地域とご本人達を結び付けるって事はいつも念頭に置いてやっていたんです。

外国人と絵や音楽、後はパソコンですね・・・当時、パソコンがまだ出始めた頃でしたので
パソコン教室の方達にお話したら、ありがたい事に「無料で良いよ。」と言ってくださって、
そうしてまたやっていただいたりしていましたね。

編集長
編集長

凄いですね!色々な動きをしていくんですね!
会社を辞めて、実際動いていく中で資金ってどうしていたんですか?

最初は・・・2年間程はお金を取ってなかったですね。

申し訳ないし・・・と思っていたんですよね。
そんな時に会員さんの方から気付いてくださって、

「先生。これ、今月もお金かかってますよね?」

「いくらぐらいあれば運営できるの?」

って聞いてきてくれたんです。

私の方は本当にその言葉だけで嬉しかったので、いくらでも良かったんですね。
なので・・・

「いくらぐらいだったら出せるか聞いていらっしゃい。無理のないお金で大丈夫よ。」

って話したら、皆さん

「1万円ぐらいだったら、」って言ってくださったんです。

嬉しかったですね~。だって、実際、物凄くかかっていましたので・・・、
店舗を借りていましたから、普通のところよりも敷金も礼金も高いし、お家賃も高いですし、
光熱費や水道代とか、私自身の事も含めて、かかっていましたので本当に助かりました。

でもそうこうしている内に、そのお部屋だけでは収まりきらなくなるぐらい
人が溢れてしまったんですね。

それでマンションを借りて、それでも収まりきらなかったので二部屋借りて、
それでも収まらなかったので一軒家を借りたんです。

その時に、正直3万円ぐらいいただかないと立ち行かない・・・
そんな事が現実的に見えて来て・・・。

でも私自身の感覚で言うと、
3万円というのはあまりに高額で、

どうしようか・・・って本当に悩んだんですね。

その時にある青少年支援関係の方々が声をかけてくださって、そこで光熱費代とか僅かな金額を
出すことが出来るようになりまして、赤字も僅かで済むようになったんですね。

その状態で10年ぐらいやってきました。

でも、それも後に諸事情で閉鎖になってしまったんです。

私達の作ってきた居場所がいよいよ行く場所がなくなってしまったんですね。

そんな中で、船橋にあるサポートステーションが募集をしていましたので、
応募させていただいて、そこで9年半ですかね・・・活動させていただいたという感じです。

編集長
編集長

本当に大変な事も沢山あった中で、真摯に若者達の心理に
寄り添う姿勢が見えるんですが、そもそも何故心理系に
興味を持っていらっしゃったんでしょう?

心理療法ってなんだろ?

それだけです(笑)

公認心理師などの資格を取らなかった理由っていうのがありまして、
それは・・・、一対一で行うカウンセリングと、集団、大勢でやる心理教育との違いというんですかね・・・
集団のところで、その力を借りてやるところっていうのに大きな可能性を感じていたものですから、

だから私は

教育カウンセラーでいこう!

って思ったんですね。

編集長
編集長

その、興味から入ったってところは驚きなんですが、
重たい問題でもあります、その辺のところにずっと向き合い続けよう!って
やってこられたのは何か理由があったんでしょうか?

どういったらいいんでしょう・・・(笑)

要は、家族問題や自身の問題や人間関係の問題、トータルの問題なんですよね。

で、カウンセラーをやられてる方も当然のようにそういう問題を抱えている事に
私としてはとても驚いたんです。私が逢った方だけかもしれませんけどw

自分自身の問題も抱えながら、人様の問題も聞き、考えていく・・・
だから重たくなってしまう方もいらっしゃると思うんです。

私は変な話ですけど、そういう問題を抱えた事がなかったので・・・
よく、珍しいと言われたりもしました(笑)

受容、傾聴もしますが、それだけでは問題解決に不十分なので、
「こうした方が良いように感じますが、どうですか?」とも言いますし、
問題を共に抱えていく事だけでは、なんか違うなぁ・・・って思ってて・・・

編集長
編集長

その視点は確かに心理師の方々にはなかなか無いものですよね。
例えば、傾聴であれば他の所でも多く行われていますし、
それで良くならなかった人達と考えたら成瀬さんのやり方は自然ですよね。

セカンドスペースという場所をやっている頃に、多くの悩み事を聞かせてもらっていて、
多くの方達が「働きたい!」という希望を持っていらっしゃってたんです。
それが思い込みとかいろんなもので出来ない方々が大半だったので、

合同就職フェアというものを12社とか14社集めてやっていたんです。

それはうちに通って来てくださってる方でやはり営業の経験が無くて、
自信が無いって方に練習って事で電話してもらって、集まってもらった企業の方々なんですね。

こういう経験はとてもその後の彼らの人生に大きなものになっていきました。

そういう風に具体的に解決に向けてサポートする事っていうのが私は必要だと思ってやってきたので、
それはこれからも無くしてはいけないと思っています。

編集長
編集長

今、お話を伺ってて自身の問題解決に意欲的な方とそうでない方が
奥にいるような気がしたんですが、その違いはどう見ていますか?

物事、色んな事を知ってるかどうか・・・だと思います。

結局、悩み、色々日々起こりますけど、それに関しての抜け道を私達なんかは知ってる、
こうすれば、こういくっていうのがわかっているから解決できるんですが、
そうでない人達が悩んでいるんだと思うんですね。

大学生の卒業率が何%?とか。

大卒の方で新卒で就職された方が1年で何割辞める、とか。

そういう事がわかってると、大学行かないから・・・とか、
転職をどんどんしていく事とか、むしろ当たり前の事だって思えるじゃないですか。

海外なんかでは転職する度にお給料が上がったりするんですよねw

色んな見方を教えて差し上げられる事って大切だと思っています。

編集長
編集長

わぁ!わかります!大切ですよねそれ!ホント、人の認知って怖いですよね。
視野を狭くさせますもんね。そういう風に凝り固まっちゃってて
視野を広げる事を拒否する人にはどういう声掛けしていくのでしょうか?

支援プログラムをやっているんですが、その中で色んな方と接してきました。
で、

殆どの方が「人が怖い・・・」という思いで、
人と接さないように過ごしてきたとおっしゃいます。

でも小さな頃のお話とかを伺うと、

とても好奇心旺盛で、人を怖がらず、活発だったなんて、
本当に良く聞くお話なんですよね。

色んな事を理由に自分には出来ない!って話していらっしゃる方も
視野を広げるような話を繰り返し、繰り返し、お伝えしたりしていると、
段々と小さなステップを踏んでくださったりするんです。

編集長
編集長

あー、例えば人と話すの怖ければ、まず居てみる・・・とか、
言葉が交わせないなら、発声練習からって言う感じですかね?

そうです。そうやって、楽しみながら、遊びを通してやっていくとか、
固いプログラムのようなもので縛るより、受け入れやすいし、結果にも繋がりやすいんですよね。

編集長
編集長

外に出よう!働こう!何処かに通ってみよう!ってなる人って
どんなキッカケでそう思うんでしょうか?何か一例ありますか?

こればっかりは本当にご本人が気持ち的に外に向かわない限りは難しいと思います。

そして、そう思わせる為にはご両親の協力はとても大きいですね。

ご両親がご離婚されて、母子家庭で育って、その後10年以上の引きこもりになってしまった、
そんな状況の方が、離れて暮らしていた父親からのお叱りを受けて
その次の日から外に出て仕事を探し出した例なんかもありますからね。

本当に愛情を持って叱るっていう行為は響くんですよね。

編集長
編集長

確かに!今、おっかなびっくりで接する事になっている大人が
増えてる気がするんで、教職にある人も叱れませんし、
親も褒め育とか念頭にあると叱れませんもんね。相談に来られる親御さんに
成瀬さんの方から伝える事が多い事ってどんなことでしょう?

まず、働けていない人が働けるようになる為に踏むべきステップがあって、
少しずつ少しずつ週5日のフルタイムで働ける力をつけていくのが一般的です。
だから

体力を付けていく事は大切だとお伝えします。

そして、これは変わってると思いますが、

お料理を作ってもらう事をお勧めしています。

料理って家庭経済なんですよね。今、じゃがいもが何個でいくらなのか?
Aというスーパーでは葉物が安くて、Bというスーパーではお魚が安い。
そうやって1円でも節約する気持ちというのは家庭経済を理解し、
自立に向けての意識としてとても大切なものになります。

あとは家庭での健康管理。寒い日に冷たいものを出さないのもそうですし、
ちょっと疲れてそうなお父さんの顔を見れば、それを労う為に何を作れば喜ぶか?
お母さんが大好きなものをお母さんが一番喜ぶタイミングで作ってあげる。
そういう事は会社で言うところの人事のような意識の使い方になります。

それと時間管理ですね。自分の調理時間、後片付けの時間、どれぐらいかかってしまうのか、
それによってどれぐらい後ろに影響が出るのか・・・仕事をしてからでは
大きな会社の損失になりますので、それを試してる場合ではないかもしれませんが、
ご自身の家でやる分には何の問題にもならない訳です。

料理からは【想像】も【創造】も学べるんですよね。

編集長
編集長

確かに!そうですね!当事者の方にはどんな言葉を掛ける事が多いですか?

諦めないで!!!

ですね。

本当に「自分は働かない!」って言ってる方も、働かない理由があるだけで、
その理由が壊れてしまえば、働いてみようとするんですよね。

私の知ってる例では50代でも働いた方もいますので、
皆さん、働きたいって気持ちはあるんだろうと思います。

編集長
編集長

本当に沢山のお話、お聞かせいただきありがとうございます。
最後に成瀬さんがこれから引きこもり問題、社会問題と向き合う中で
目指されるもの、やっていこうと思っている事って何でしょうか?

今まで通り・・・(笑)

ですね。

編集長
編集長

そりゃあそうですよね!愚問でしたwもうされてますもんね!

そうかしら?(笑)でもそうね・・・

必要な事を必要な機関と連携しながら・・・
これからもやっていこうと思っています。

それはずっと変わらず必要な事だと思っていますので・・・。

終わりに・・・

始まりから終わりまで穏やかな声で
優しく話してくださる姿に
包み込まれるような感覚を覚えました。

微笑みながら
「私みたいなカウンセラーって珍しいんじゃないかしら。」
とご自身のしっかりとしたスタンスも見せてくださるので

人として信頼できる、そしてずーっと話していたいような
不思議な空気にすっかり魅了された山田なのでした。

☆成瀬さんのいらっしゃるところ☆

施設名特定非営利活動法人セカンドスペース
住 所千葉県船橋市 ※住所非公開
営業時間・定休日【千葉県委託事業】千葉県子ども・若者総合相談センターライトハウスちば
火~日 10:00 ~ 17:00 ※2023年10月現在
(月曜が祝日の時は実施。翌火曜は休み)

【はるかぜクリニック委託事業】船橋はるかぜクリニック・デイケアプログラム
火~木 9:00~17:00(祝日と第五週は休み)

【自主事業】講師派遣事業
メールにてお問い合わせ下さい
対応地域千葉県全域
対 象児童・未成年・成人・障がい者・不登校
対応内容相談・復学・訓練リハビリ・就労・居場所
公式サイトhttps://secondspace.jp
お問い合わせセカンドスペースへのお問合せは『メールでお問合せ』のボタンよりお願いいたします。

各事業所へのお問い合わせ
●千葉県子ども・若者総合相談センターライトハウスちば
TEL:043-420-8066
●船橋はるかぜクリニック・デイケアプログラム
TEL:047-436-8681
(受付時間:火・水 9:00~12:30
ただし祝日および第五週は閉所日)

インタビュアー:山田賢明
     編集:山田香綸